異常気象の災害列島

短期間に今年の重大ニュース入り間違いなしの災害が立て続けに発生した。大阪北部地震、西日本豪雨、長期間の異常高温、巨大台風の襲来、北海道地震…。
政府発表やマスコミ報道は、その都度何十年に一度のとか、統計を取って以来初めてなどのまくら言葉を並べる。
確かに40度を超える猛暑日の連続、関西空港を冠水させ、大阪の街を吹き飛ばした台風21号、水浸しの倉敷市街や広島市の土砂崩れ、北海道の山崩れなどの現実は日頃の防災意識や訓練ではとても対応できないレベルを思わせる。

これらすべてを地球温暖化に原因を求めるのは容易であるが、右翼的発想とは別に、自然災害から国土を護る長期的な計画策定は絶対に必要である。

そしてこうした大災害が起こる都度、常に問題になるのは大きすぎる自治体の弊害である。平成の大合併は地方分権の推進、行政の効率化などを目的に全国の市町村数を半減させた。(2016年時点で1,741市町村)。
しかし広域合併は災害発生時に問題点を露呈する。合併された町には町議会や町役場が無くなり意思決定機能を失った。物事を決めるのは遠く離れた県庁や市役所、市議会になり、復興計画なども、その地域の実情とはかけ離れた大型の土木工事などになりやすい。
その上、合併の目的には人減らしもあるので職員の絶対数が減った。そのため目に見えない人間関係や災害の恐れのある場所も熟知していたベテラン職員がいなくなった。異動で別の地域に移ったケースも多い。

加えて、自治会や町内会組織が次第に機能しなくなりつつあるという現実もある。
県や広域市では大きすぎ、住民からは遠すぎるのである。災害対応という面からは平成の大合併は失敗という声もある。
もちろん合併によるメリットを享受している住民は多いのだろうが、聞こえてくるのは不便になったという声ばかりである。

合併により出来上がった広域市の市名を幾つか挙げてみる。驚くことに市が律令制時代の国名を名乗り、そこが何処に位置するのか判断に苦しむものも多い。

例えば「奥州市」。東北6県の総称みたいな名称で、余程地理に明るい人でないと、市役所が何処にあるのか分らない。
甲州市」。概念上は人口20万人の甲府より大きそうだが、実態は1市1町1村が2005年に合併した3万人の街である。
瀬戸内市」というのも酷い。瀬戸内海の何処に面する都市なのか。クイズマニアでもない限り岡山県とは知るまい。
南アルプス市」に至っては、鉄道の通っていない市として名高いとホームページにある。
徳島県の「阿波市」、岐阜県の「飛騨市」、静岡県の「伊豆市」なども文句を言いたいところである。

旧聞に属するが、10年前の能登半島地震の折、震源地は輪島市に編入されたばかりの我が故郷であった。
当初「輪島」と聞いて、朝市で有名な海岸線辺りを想像していたが、やがて震源地はそこではなく、輪島の市街地から十数キロ離れた内陸の門前町、つまり我が故郷と分かって大いに慌てた事がある。ことほど左様に広域合併の弊害は存在するのである。
(2018.9.25)

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