米大手IT企業の映画産業への進出

GAFA(ガーファ)ともFAANG(ファング)とも呼ばれる米大手IT企業のメデイアへの進出が目覚ましい。ITに詳しい若い人には既知の事実かもしれないが、こういう事に疎い我々世代は話題に追いつくのがやっとである。でも知らないでは済まされない世の中になってきたので、入門書片手にいくらかこの辺の事情に詳しい仲間のレクチュアを受ける。 続きを読む: 米大手IT企業の映画産業への進出

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新語・流行語から見る中国社会の変化

共立女子大・秋の公開講座を受講する。李錚強教授による標題の講演。「言葉は社会の鏡である。社会が変わればそれを反映して新しい言葉が続々と誕生してくる。」との前置きに始まり、1978年の鄧小平による改革・開放政策以降、未曽有の新語発生が今日まで続いていることを講じる。 続きを読む: 新語・流行語から見る中国社会の変化

異常気象の災害列島

短期間に今年の重大ニュース入り間違いなしの災害が立て続けに発生した。大阪北部地震、西日本豪雨、長期間の異常高温、巨大台風の襲来、北海道地震…。
政府発表やマスコミ報道は、その都度何十年に一度のとか、統計を取って以来初めてなどのまくら言葉を並べる。
確かに40度を超える猛暑日の連続、関西空港を冠水させ、大阪の街を吹き飛ばした台風21号、水浸しの倉敷市街や広島市の土砂崩れ、北海道の山崩れなどの現実は日頃の防災意識や訓練ではとても対応できないレベルを思わせる。

これらすべてを地球温暖化に原因を求めるのは容易であるが、右翼的発想とは別に、自然災害から国土を護る長期的な計画策定は絶対に必要である。

そしてこうした大災害が起こる都度、常に問題になるのは大きすぎる自治体の弊害である。平成の大合併は地方分権の推進、行政の効率化などを目的に全国の市町村数を半減させた。(2016年時点で1,741市町村)。
しかし広域合併は災害発生時に問題点を露呈する。合併された町には町議会や町役場が無くなり意思決定機能を失った。物事を決めるのは遠く離れた県庁や市役所、市議会になり、復興計画なども、その地域の実情とはかけ離れた大型の土木工事などになりやすい。
その上、合併の目的には人減らしもあるので職員の絶対数が減った。そのため目に見えない人間関係や災害の恐れのある場所も熟知していたベテラン職員がいなくなった。異動で別の地域に移ったケースも多い。

加えて、自治会や町内会組織が次第に機能しなくなりつつあるという現実もある。
県や広域市では大きすぎ、住民からは遠すぎるのである。災害対応という面からは平成の大合併は失敗という声もある。
もちろん合併によるメリットを享受している住民は多いのだろうが、聞こえてくるのは不便になったという声ばかりである。

合併により出来上がった広域市の市名を幾つか挙げてみる。驚くことに市が律令制時代の国名を名乗り、そこが何処に位置するのか判断に苦しむものも多い。

例えば「奥州市」。東北6県の総称みたいな名称で、余程地理に明るい人でないと、市役所が何処にあるのか分らない。
甲州市」。概念上は人口20万人の甲府より大きそうだが、実態は1市1町1村が2005年に合併した3万人の街である。
瀬戸内市」というのも酷い。瀬戸内海の何処に面する都市なのか。クイズマニアでもない限り岡山県とは知るまい。
南アルプス市」に至っては、鉄道の通っていない市として名高いとホームページにある。
徳島県の「阿波市」、岐阜県の「飛騨市」、静岡県の「伊豆市」なども文句を言いたいところである。

旧聞に属するが、10年前の能登半島地震の折、震源地は輪島市に編入されたばかりの我が故郷であった。
当初「輪島」と聞いて、朝市で有名な海岸線辺りを想像していたが、やがて震源地はそこではなく、輪島の市街地から十数キロ離れた内陸の門前町、つまり我が故郷と分かって大いに慌てた事がある。ことほど左様に広域合併の弊害は存在するのである。
(2018.9.25)

翁長雄志さんの潔さ

20日の自民党総裁選も、30日の沖縄県知事選も自分の気に入らない結果に終わりそうな気配を感じるが、ここではそのことを書くつもりはない。
書きたいのは翁長さんの死に方である。7月27日、最後の記者会見となった写真をみると帽子を被っているから、多分抗癌剤治療による頭髪の抜けを見せたくなかったのだろう。しかしマイクの前に立つ姿と表情には死を予感させるものはない。

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御巣鷹の尾根

日航ジャンボ機が群馬県の山中に墜落して死者520人を出すという航空史上最大の事故発生いらい34年が経った。
8月12日が近づくと新聞各社は思いだしたように特集を組み、テレビは神流川の灯篭流しを報じるが、日航社員でも当時を直接知る人は少なくなり、この大事故も過去のことになりつつある。
ところが自分には何故か何時までもこれに惹かれるものがある。なにゆえだろうか。 続きを読む: 御巣鷹の尾根

傘寿

正月、五月の連休、夏休み、かつては煩わしいほど押し寄せてきた7人の孫たちも成長するにつれ、一堂に会することが少なくなった。
それでも7人の間には、なにやらネットワークらしきものがあるようで、時として親そっちのけで、彼ら彼女らにとっては 続きを読む: 傘寿

2018年前半の映画から

映画界最大の話題は、是枝裕和監督『万引き家族』のカンヌ最高賞受賞と国の祝意を辞退したことであろう。
作品の内容については多くが語られているので省略するとして、是枝は“映画がかつて国益や国策と一体化し、大きな不幸を招いた過去の反省に立つならば、平時においても公権力とは潔く距離を保ちたい”と発言して祝意を辞退した。その言や善し。

ところがこれに対し例によって、国の助成金を貰っているのにけしからんとか 続きを読む: 2018年前半の映画から

JR北海道はどうなる?

JR北海道をめぐる議論が喧しい。我がコラムでも毎年数回はこの問題を取り上げている。
JR北海道頑張れ(2013年)
廃線かJR北海道7路線(2015)
JR北海道から目を離せない(2015)
JR北海道赤字路線の命運(2016)
細るJR北海道の鉄路(2017)

昨年9月には「宗谷本線の音威子府以北は必要ですか?」という音威子府村の異例の問いかけに、仲間と議論した結果を村の地域振興室に送っている。それくらい北海道が好きだし、JR北の消長に関心がある。 続きを読む: JR北海道はどうなる?

『本のエンドロール』安藤祐介著 講談社

全国出版協会の調べによると2017年の出版市場は、紙の書籍・雑誌の売り上げ:前年比▲7%の1兆3,700億円。電子コミック・雑誌・書籍など、電子の市場は16%増の2,300億円。
しかも紙の市場は13年連続してマイナスであるという。細かい数字に興味はないが、世の中の動向からは多分そうなんだろうと思う。


小説『本のエンドロール』はこうした紙離れ、活字離れが進むなか、「本造り」に情熱を燃やす中堅印刷会社の若い営業マンの物語である。 続きを読む: 『本のエンドロール』安藤祐介著 講談社

大規模災害と鉄道貨物輸送の重要性

「平成30年7月豪雨」と命名された先ごろの集中豪雨は、西日本の鉄道各線に甚大な被害を与え、復旧に一か月以上要する路線は10路線、800㎞を超えた。
とくに中国山地の山間部を走る芸備線、木次線などは復旧に一年以上かかるとも言われ、今年3月に営業運転を終了した三江線に次いで廃線の噂も出始めた。鉄道ファンとしては、そんなことにならないことを祈るが、深刻なのは物流の大動脈・山陽本線の寸断である。
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津軽の旅━❻青函航路と北海道新幹線

青函連絡船の最終運航からすでに30年。津軽海峡を最も長く往復した八甲田丸(8,313トン 全長132m)がメモリアルシップとして、青森第二岸壁に繋留されている。最後に乗船したのが、この船だったかどうか記憶は定かでないがとても懐かしい。 続きを読む: 津軽の旅━❻青函航路と北海道新幹線

津軽の旅━❺無人の五能線

秋田県の東能代駅と青森県の川部駅を結ぶ147.2㎞の地方交通線、つまりローカル線である。土・日・祭日には「リゾートしらかみ」なる観光列車も走っているのだが、平日は直通する列車も日に一、二本の超閑散線である。しかし単線・非電化のこの線は、それ故に鉄道ファンには人気が高い。 続きを読む: 津軽の旅━❺無人の五能線

津軽の旅━❹弘前城と西洋館

新緑の津軽十万石弘前城に入る。桜で埋め尽くされるという日本屈指の名所もこの日は閑散。人待ち顔の人力車も手持ちぶさた。しかし城内に5,000本というソメイヨシノなどが一斉に咲き誇る頃を想像すると、ここが日本でも指折りの桜の名所であることを合点する。
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津軽の旅━❸酒田の山居倉庫と比内地鶏

なんど来てもいいところはいい。山居倉庫もその一つ。最上川の支流、新井田川に面し酒田港へ米を積み出す米蔵である。観光ポスターにもなっている庄内のシンボルで、12棟の倉庫群とケヤキ並木が連なる景観はとても美しい。 続きを読む: 津軽の旅━❸酒田の山居倉庫と比内地鶏

津軽の旅━ ❷黒石のこみせ通り

町並みに沿って道路側に付けられた屋根のある通路を、越後では「がんぎ」と呼ぶ。同じものを津軽では「こみせ」と呼ぶ。
冬の吹雪、積雪、夏の日照から人を守るための木造りアーケード状の通路、それを見たかった。
そんなものを見て何になるのかと 続きを読む: 津軽の旅━ ❷黒石のこみせ通り

津軽の旅━ ❶階段国道と龍飛崎

今回は津軽への独り旅。熱心な太宰ファンでもないし、傘寿の祝いをひっそりと津軽海峡で迎えようと感傷的になったわけでもない。ただ列車に乗り継ぐだけの阿呆旅行に付き合う仲間がいなかっただけだ。
そうなると真に気楽なひとり旅。地元の人に道を尋ね、気ままに横丁を覗き込み、
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イザベラ・バード(Isabella L Bird)と菅江眞澄

ドイツ文学者にしてエッセイスト池内紀氏の講演『イザベラ・バードの見た明治の日本』を聞く。主催は山形県生まれの知人、NPO元気・まちネットの矢口正武さん。
10年来の友である彼は、バード、芭蕉、義経を最上川の三賢人と名付け、山形県の活性化に努めているある種の変わり者である。
その彼が池内紀さんを呼ぶというのだから、これは外せない。
池内さんの著書『ニッポン周遊記』はのっけから、バードが北海道・森町、青森県・黒石市で見たもの、聞いたことから始まる。
バードの『日本奥地紀行』(Unbeaten Tracks ㏌ Japan)は明治維新後10年、文明開化には程遠い東北、蝦夷地の姿をリアルに記録した旅行記である。日本の近代化の変化を知る上で、貴重な本として評価は定着している。

浅学寡聞を思い知らされたのはバード(1831~1904)と菅江眞澄(1754~1829)の業績を対比したことである。動機も目的も異なるが、菅江眞澄はバードに先立つこと100年、東北と北海道の各地をくまなく巡り歩き、庶民の生活、風俗習慣、口承伝説、年中行事などを克明な記録として残した。その生涯は謎につつまれているようだが、柳田国男は民俗学の先駆者と評価している。

知人に大月和彦さんという「企業OBペンクラブ」に所属する人がいる。この人の書く随筆、評論の類は、そのすべてが菅江眞澄がらみ。菅江の足跡を辿って、津軽、下北、北海道を常時旅しているのだから本物である。
この講演会の会場にも、バードの歩いた道を北上中という人や、殆ど何も残っていない新潟で、バードの足取りを探索中という熱心なファンもいたから、日本人の好奇心はまだまだ健在である。
(2018.7.3)

推進、反対両面から八ッ場ダムを検証する

八ッ場(やんば)ダムは民主党政権の誕生時にいったん建設が中止されたものの、その後復活した曰く付きの大型公共工事で、今は多くの問題を抱えながらも2020年3月の完成を目指して着々と工事は進んでいる。 続きを読む: 推進、反対両面から八ッ場ダムを検証する

図書館と文庫本

かねて「文庫は出版社の収益の柱。図書館での文庫の貸し出しをやめて欲しい。」という大手出版社社長の主張の是非を論じようと考えていた。しかしこれに関する肯定派、否定派の熱心な意見を知る内に自分の論拠のいい加減さと曖昧さに気づき、ここはまず出版不況と図書館の関係から論ずべきだと思い至った。 続きを読む: 図書館と文庫本