町会議員選挙

 公示と同時に当選者は決まっていたと言ってもいい、それもあらかじめ読んだ票にぴたりといかぬまでも、それを割る事は無いのです。というのも立候補者はそれぞれの地区の有力者で、大地主やお金持ち、町役場の退職者とか町の名誉職にある人たちに限られていたのです。
 選挙が始まると、町はお祭り騒ぎです。それぞれの地区のメイン通りに、テント張りの選挙事務所が設けられ、出陣式が行われる。花輪に埋もれ、候補者がビール箱に立ち挨拶をすると、こんどは出しゃばりな後援者が次々に応援演説をぶち上げるがだあれも聞いちゃあいない。その間候補者は普段の仏頂面にえびす顔を被せ、可愛いくもない支援者の子どもにおべんちゃらを並べ飴玉なんかを握らせる。
 これは消防第4分団の団長さんで、キンキラのバッチや勲章がごっちゃりついた制服で遊説です。遊説といっても候補者の誰もが名前を連呼して歩くだけで演説なんぞついぞ耳にしたことなどありません。
立候補者はいつも決まっていて、まず町会長、PTA会長、商店会長、子供会会長などなどでこれらは当選確実、得票までが読み取れたそうです。ただ一人、大地主で大金持ちのSさんは何度挑戦しても落選でした。その理由「あいつぁ威張りくさっていやがるからよ!」でした。

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