きゅうりー婦人

 手造りの手押し車で、やっちゃ場も町の八百屋も欲しがらない出来損ないの野菜を「朝採り新鮮」とうたいながら売り歩きます。
 その夏は胡瓜がバカ採れで、毎朝毎晩「胡瓜だけんどよう、買ってくんねー」と、半ば強引にしもた屋のおかみさん達に押し付けると、付き合いだからと渋々ガマ口を開けていました。
 付いたあだ名が「きゅうりー婦人」、ノーべル物理学賞のキュリー夫人ではありません。胡瓜婦人、小農家のおかみさんです。
 完売まで数キロの先のパンパン長屋にも押しかけますが、自炊をしないハ二ーさん達には一本も売れません。欲ばりババアと笑われようと、めげることないきゅうりー婦人は米兵にまで声をかけました。
 「アメリカさんよ、キュウリだけんど、買わねえかい、残りもんだぁ、全部でワンダラ!ワンダラ!」

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