BLACK  ONLY

 南栄の黒人兵士専用のバーです。白人兵が入店を拒まれています。もちろんWHITE ONLYの店もあり、黒人兵は入れません。と言うのは酒が入ると必ずと言っていいほど口論から始まり、血を見ないと収まらない喧嘩になったんです。僕は駅前通りのインチキバー(酒を置いてない、女給と名乗るパンパンガールが待つ店)から転げでた路上で殴りあい、取っ組みあう喧嘩を幾度か見ていますが何故かKOされるのは決まって白人兵で、急行したMPのジープで連行されますが、このMPも白人と黒人の組み合わせです。双方共に身贔屓があってはならないと言う配慮だと聞きました。
 店の女給の多くは黒人兵の味方が多かったようです。と言うのは黒人兵は白人兵に比して金払いがよく「あたしたちにもさっぱりした扱いをしてくれたのよ!」「アメリカの江戸っ子かなぁ」と表現したパンパンもいます。
 僕を可愛いがってくれたトニーもそんな黒人兵でした。シアーズカタログから僕が選んだ流線型の自転車をアメリカ本国から取り寄せてくれる気前の良さです。正に気の良い江戸っ子でした。
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 バーBelly(仮名)の裏手は表の華やかさからは想像出来なぬ暗くてたそがれた景色です。軒を並べるバーの何れもが小さな町家をアメリカ軍が駐留すると言うので大急ぎ改造したもので便所までは気がまわらなかったのでしょう、客のアメちゃんは店外にでて用を足さねばならず、女給は飲み逃げを心配し一緒に外に出て見張るのでした。
 裏手にはパンパン小屋と呼ばれる粗末な掘っ立て小屋があり、女給はアメちゃんの求めか、もしくはその逆かの売春の場ですが、ここで注目して欲しいのは勝手口右手に置かれた焼酎瓶です。女給たちは米兵に酒をねだり、ガブ飲みを繰り返し店の売り上げを伸ばしてその儲けの何割かをその日の稼ぎとする仕組みで固定給などありはしません。ですから彼女らは屈めないほど喉元までいっぱいのビールをこの瓶に吐き出したのです。この吐瀉物は近くの農家が農作物の肥料として集めに来たのですが店主はただではわたさずなにがしかを頂いたようです。
 米兵を客として話のついた女給はパンパン小屋を利用しますがこれとて小屋主に使用料を支払わねばならないのです。ですから彼女たちは特定のアメちゃんの女、オンリーさんなる事に憧れたのでした。

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