劇団青年座「断罪」作 中津留章仁

黄色い叫び』で原発を、『そぞろの民』で超高齢化社会を。現代日本の抱える矛盾と問題点に正面から切込む劇作家中津留章仁。
今度は自主規制と忖度ばやりのいまの日本の姿を、芸能プロダクションを舞台に告発する。
狙いは右傾化する日本、こんなところにまで影響が出ているのだと無関心な若者や、白痴化を煽るテレビ局、それを無批判に受け入れる馬鹿な大人たちへの警告である。
なにも言わなくなってしまった日本人よ!これで本当にいいと思うのか?との挑戦状である。

チラシ
恋愛は禁止、政治的発言はダメ、タレントたちは徹底的に「管理」されている。反原発や安保関連法案に疑問を呈したタレントがテレビ局やCMクライアントから敬遠され始める。
こうなるとタレントを抱える芸能プロは会社の死活問題になり、沈黙する社員も増え始める。権力におもねることが仕事を取れることになり、社内からは自由な空気が次第に消えてゆく。その中で出世する者、左遷されるものが現れる。

テレビ局プロデユーサーの権力は絶大で、芸能プロの女性社員にはオンナを武器に仕事を取る者もいる。宗教との付き合いも信仰とは別に重要である。にっこりほほ笑むCMタレントは企業イメージを優先されるから、深刻なドラマには起用されない。

こんな業界の裏も表も、いまや週刊誌などで報じられ、特に目新しさは無いが、いいのは話が分かりやすいこと。日曜日の昼、代々木公園に近い青年座劇場は満席である。

折から、沖縄・宜野湾市の保育園に米軍ヘリの部品が落下した。県知事や市長が政府に猛抗議するのは当然として、唖然とするのは、被害者の保育園に“自作自演ではないのか”“そんなところに保育園があるのが悪い”とするメールや電話が殺到した事実である。
南京事件ですら、無かったことにしたい勢力があるくらいだから、と言ってしまえばそれまでだが、それにしても酷い。日本はここまでおかしくなってしまったのか。
米軍が詫びを入れていることまで無視して、自作自演だ、そこにあるのが悪いとは、どういう神経か。まったくもって不快である。

すべてを安倍政治のせいにしたくないが、NHK:NW9の大越健介、:クロ現の国谷裕子、テレビ朝日:報道ステの古館伊知郎、TBS:NEWS23の岸井成格ら、権力に比較的にもの申してきた看板キャスターが、アベの言論統制下で揃って降板したのはまだ最近の出来事である。

海外メデイアからは、日本メデイアの最大の問題は、報道を自粛してしまうことで、権力と対峙する覚悟が見えないこと。メデイアの真の責任とは政府の知らせたくないニュースを人々に知らせることにある。それを放棄していると軽蔑されている。
国民の知る権利が脅かされれば健全な民主主義社会の基盤は揺らぐ。中津留作品は改めてこんなことまで考えさせる力がある。
(2017.12.19)

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