しゅうしゃん ぼおい

駅前の馬頭観世音と並んで靴磨きの少年が座った。
客はアメリカ兵とハイヒールを履くことの出来た娼婦のお姉さん。
少年は こうちゃん。浅草生まれ、戦災孤児、と知ったのは母に言われ「三時だよ」とおむすびや九助、
もしくは久助と書いたクズ煎餅を届けてのこと。
こうちゃんはヤサグレと言ったが池袋の香具師の親分から道具一式を持たされでてくる香具師見習いらしかつた。
同じ浅草生まれの母はこうちゃんを気にかけ家にも誘ったが一度も寄ってくれることはなかった。
ある日「君にあげるよ」彼は東京の言葉で肉厚の丸めんをたくさんくれた。
これは朝霞では売ってない東京の丸めんでぼくも母に連れられ浅草の仲見世で手に入れたが、
少し高値でもったいなく勝負には出せなかった。
三原色の武者絵がおもで特に赤色の勝った彩色は天然痘除けの呪いだときいた。
母はこうちゃんの宝物に違いないから大事にね、を繰り返しだが一枚二枚とガキ大将のKちゃんに巻き上げられてしまった。
こうちゃんは昭和十三年生まれ、存命なら八十歳になろうか。
ぼくは思う、香具師の大親分になってくれてたら良いのになぁ。

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