栄橋

東都墨田区のお婆ちゃん家は大川と呼んだ隅田川に架かる吾妻橋を渡り、

 隣り町の志木の爺ちゃん家へは柳瀬川に架かる木造で 吾妻橋の何十分の一の小さな栄橋を渡りました。

吾妻橋には沢山の自動車が行き交い、輪タクも走り、チンチン電車も通ってます。

 橋下には海へ向かうだるま船や団平船と言う大きく、 ずんぐり平べったい無動力船が曳舟に引かれて過ぎます。 

ポンポン蒸気の遊覧船は万国旗をはためかせ、川上へ向かいます。

 栄橋はと言へば荷馬車が行き、よだれを垂らした牛が来て、 忘れた頃に木炭バスが通ります。

 橋下の流れは川底が見えるほど浅く、屑屋のおぢさんが金物を拾っています。 

特に、あかと呼ばれた銅は高値で売れたのです。

 柳瀬川は此処から少し下流で新河岸川に飲み込まれ、それもやがては荒川と合流、 さらに下って隅田川と名乗るころには流れは汚れ汚れて、

 悪臭放つ醤油色に変わっていたのでした。 今も二つの橋に立つと僕はあの日の小学生になっているのです。

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