二つの鉄道博物館

神田万世橋にあった「交通博物館」が閉館したのは、11年前の2006年5月。それに替る施設として東では大宮に「鉄道博物館」が、西では京都に「京都鉄道博物館」が誕生した。今週はこの二つを訪ねたレポート。

鉄道博物館(さいたま市)
「交通博物館」閉館後、順次展示物の移送を行い、2007年10月14日「鉄道の日」に開館した。運営はJR東日本。所在地は浦和電車区の車両解体場跡地で、それ以前は川越線気動車の留置線。
鉄道分野に特化した展示構成になっていて、鉄道以外の交通分野に関する収蔵品は大阪の「交通科学博物館」(1962~2014年)に移された。

子供の頃、父親は上野の科学博物館へ行くことを薦めたが、足は神田の交通博物館に向かった。のちに「テツ」と称される、趣味が鉄道というような人間になろうとは思いもよらなかったが、学生時代、社会人生活を通して、鉄道の呪縛から逃れられなかった。

さて鉄道に特化したここ大宮の博物館には、自動車、船舶、航空機などの姿はなく、あくまで鉄道一本槍。昔は「パノラマ模型運転場」と言っていたように思うが、今はジオラマの名でミニチュア列車が走り回り、子供たちの目は釘づけ。一方我々高齢鉄道ファンは「ヒストリーゾーン」の実物展示車両が懐かしい。
なかで、国の重要文化財に指定されることになった大正期製造の通勤型電車ナデ6110系式に注目する。全長16m、ロングシート、片側3か所の乗降扉、と現在の通勤型車両の原型になったものである。集電装置としての屋根上の2本のトロリーポールが異彩を放っている。

京都鉄道博物館
昨年4月開館、まだ一年経っていない。運営はJR西日本。
前出、大阪の交通科学博物館収蔵品の一部と2015年8月に閉館した梅小路蒸気機関車館の収蔵品を展示するほか、つい先だってまで走っていた500系新幹線やボンネット型特急電車が待っている。しかし目玉は鉄道ファンなら一度は訪れたい梅小路機関区の扇型車庫と20両のSL、そして転車台。日本最古の木造2階建て和風駅舎旧二条駅舎も美しい。
とりわけ扇型車庫の一つ一つから頭をのぞかせていて、今にも走りだしそうなSL群が圧巻。SLの代名詞にもなったデゴイチも、全国のローカル線を駆けずり回ったハチロクもいる。この光景にうっとり。時間の経つのを忘れる。

梅小路機関区にて

梅小路蒸気機関車館はSLの動態保存を目的とした施設で、当初は東京に近い栃木県小山機関区が有力候補であったという。しかし日本の中央部に立地している、集客力の大きい名所旧跡がある、大型SLの保守実績がある、SL運転可能な路線が近くにあるなどの観点から梅小路が保存機関区に選定された。

昭和13年生まれのD51 筆者と同年齢

春休み、「大宮」は孫テツと、「京都」は大阪の友人と訪れたが、共通するのは押し寄せる入館者の大群。それも性別、年齢を超えた幅広さ、京都には外人の姿も多い。鉄道ファンってこんなに沢山いたの?と呆れるような賑わい。聞き耳を立てるとチビッ子たちの専門用語も聞こえてくる。乗り鉄、撮り鉄、鉄女とテツの世界も広がったが、「車両派」という確固たるジャンルがある。この子たちはその予備軍なのだろうか。

今年は国鉄が民営化されて30年。鉄道旅としては邪道と思える豪華列車運行の話題とは裏腹に、地方鉄道網の維持が大きな課題になってきた。鉄路の行く先を考え続けたい。
田谷英浩(2017.4.6)

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