重箱読みと湯桶読み

築地市場から豊洲への移転騒動を伝えるテレビで、アナウンサーやキャスターが【もりど】を連発するのに違和感と気持ちの悪さを抱いていた。最初は原稿の読み違いかとも思ったが、いっこうに【もりつち】と発音する人は現れず、こうなると俺が間違っているのかと不安になる。
テレビという絶対のメデイアの前には常識なぞは通じなくなっているが、信頼する「広辞苑」はどう表記しているかとハラハラしながら引いてみる。
手許の第5版には、【もりつち 盛り土】地面の上に、さらに土を盛って高くすること。また、その盛った土。とあり【もりど】という表記は無い。よかった! 俺は間違っていなかった。
しかしゼネコンなどの業界用語、【もりど】がここまで人口に膾炙するレベルに達していると、【もりつち】の旗色は悪く、理解し合える仲間と悲憤慷慨するほかない。

 日本語の熟語の読み方には、上の字を音で読み、下の字を訓で読む重箱読みがある。額縁(ガクぶち)、客間(キャクま)、工場(コウば)、台所(ダイどころ)、路肩(ロかた)などがこれである。
一方、上の字を訓で読み、下の字を音で読むのを湯桶(ゆトウ)読みと言い、朝晩(あさバン)、株券(かぶケン)、遅番(おそバン)、高台(たかダイ)、湯茶(ゆチャ)などがある。
盛土(もりド)も湯桶読みのひとつであるが、何となくそう発音したくない言葉である。

 言葉は難しい。いま、中央区の十思公園内の会場でシニアの会合を定例的に開催しているが、つい最近までここは(じゅっしこうえん)だとばかり思っていた。ところが正確には(じっしこうえん)なのだそうだ。とすると馴染の渋谷の居酒屋「十徳」は(じっとく)かと確かめると、いやここは(じゅっとく)ですと言う。
ことのついでに調べてみると、歴史上の「二十世紀」は、(にじっせいき)が正しく、鳥取の梨の段ボールにはNijisseikiのラベルが貼られているという。ただしアメリカの大手映画会社「二十世紀フォックス社」は(にじゅっせいきフォックス)と呼ぶのだから日本語は難しい。
田谷英浩三(2017.1.30)

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