続 天皇の退位  ある読者からの感想

皇室に関しては聖域というかタブーというか、突っ込んだ議論が憚られるのが日本という国のような気がします。失礼ながらみなさん、今上陛下がお亡くなりになるのを黙って待っていたというのが本当のところではないでしょうか。
皇位継承については皇室の側から言ってもらわないと議論できない。そこに今上陛下が一石を投じてくださった。もう辞めたいと言ってくださったので、ようやく公に議論できるようになった。陛下ご自身が長く皇太子の地位にあって、いつまでも補佐みたいな立場にいるもどかしさと、高齢の親を引退させてあげられない辛さを、制度として何時までも残しておくのはどうかと思われたのではないでしょうか。
時代背景もあって、昭和天皇はおっしゃらなかったけれど、今上天皇は今の時代の方だし、皇太子さまはもっと現代的なお考えを持っておられると思います。亡くなるまで譲位できないという今の制度は遅かれ早かれ、皇室の側から異論が出てきたと思うのです。
生前譲位が可能になっても、平安時代みたいな5歳の天皇、在位数年での譲位、院政、そんなことは現代ではありえないと思います。
陛下がおっしゃっているのは、ご自身一代限りのことでなく、これからも天皇になった人間に辞める自由を与える、引き際を自ら決めていいということを制度として整えてほしいということのように感じられます。
今の政府のやり方は、皇室典範をいじりたくないから特別法で何とか乗り切ろうというその場限りの印象しか受けません。いくら象徴天皇だからとはいえ、ご自分の意志で何もできないというのは、それこそ如何なものでしょうか。戦後人間宣言をされたのだから、人間として意志を通すことは間違っていないと思います。勇気をもって皇室典範を改正すべきだと思います。
日本に皇室がある以上、時間がかかっても手間がかかっても、真剣に議論して譲位にしても女帝にしても、国民が納得する答えを出すべきです。

海外に赴任しているある友人は、現地の日本人にとって一番のセレモニーは天皇誕生日だと言います。国にもよりましょうが、その日は仕事を休み正装して人を招き、アメリカで言うところの独立記念日に匹敵するようなパーテイをやるそうです。家には両陛下の写真が飾ってあって、日本国内にいるよりずっと皇室を意識して暮らしていると言いますから、外から見ると日本は紛れもない天皇制の国。皇室はとても重要な存在のようです。 
田谷英浩(2017.2.16)

コメントを残す