武蔵野プレイス

エッセイスト池内紀の『ニッポン周遊記』は「はじめての町に来て、その町を見わける方法の一つに図書館がある。図書館があるかどうか。必ずあるはずだが、それはどんな図書館なのか」で始まる。つまり市や町の優劣を計る尺度の一つに図書館の存在があるということだ。
となると我が朝霞市はどうであろうか。市制20周年を記念する1987年に開館した現図書館は斬新な図書館として、開館時、全国から視察に訪れる人は引きも切らなかったそうである。
それから30年、人口の増加と人口構造の変化は急激で、いまや書庫の不足、閲覧スペースの狭隘さ、インターネット環境対応、電子書籍対策など課題が目立ち始めた。

さて、この10年くらい「朝霞市図書館友の会」という市民グループに所属している。そこでは月一回の会合で、「もっと図書館をよくするにはどうしたらいいか」を論じ、市民目線で利用者の要望を聞いたり、他市の先進的な図書館を見学したりしている。図書館側に目先の改善提案や、長期の対策を提言しているのは無論である。メンバーの皆さんは本好きな人ばかりで、ベストセラーを論じ、文学賞にケチをつけ時間を忘れることもしばしばである。

タイトルの『武蔵野プレイス』は武蔵野市に5年前誕生した複合公共施設の名称で、今後の図書館像を示すものとして注目を集めている。ここでは図書館機能、生涯学習支援、青少年活動支援、市民活動支援の四つの機能が地上4階地下3階に有機的に配置されている。
「図書館機能を核に、人と情報が行き交いつながる知的創造の場」というコンセプトは掛け値なしに市民に受け入れられているようだ。時としてスローガン倒れの施設も見受けるが、見学したこの日は平日の午前中にも関わらず、老壮青幼がバランスよく利用しているように見受けた。土日の来館者は数千人と言うから驚きだ。2、30年後、朝霞の公共施設は等しく建て替え時期を迎える。「武蔵野プレイス」は図書館にとどまらず今後の町づくりの参考になる。関係者は等しく見学すべし。 
田谷英浩(2016.11.8)

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