蜷川幸雄のゴールド・シアター2016(5)

B5 版80頁の台本が送られてきた。場面表と登場表も同封されている。連絡事項には「台本は必ず最初から最後まで目を通し、全体の流れとご自分の出るシーンを確認してください」とある。
しかもこれまでは稽古日を選べたのに、「これから本番までの全体稽古5回の欠席は原則不可」。どうしても欠席日のある人は欠席届を提出せよと用紙まで封入されている。
もうジタバタできなくなった。公演までひと月に迫り、新聞・テレビにも大きく取り上げられ、前売り券の販売も予想を超えて好調のようだ。老人男子400人、女子1,100人を集めた群集劇がいよいよ幕を開けようとしている。

指示に従って台本の読み込みを始める。ここで漸く疑問が解け始めた。これまで稽古していて、“なんでこんな事をするの?”“ロミジュリとこれはどんな関係があるの?”と疑問に思うことが沢山あった。そのため何となく醒めた気分で参加していたのが事実である。釈然としないまま、ボレロが流れる中、うなだれながら歩かされ、ドレミの歌も合唱した。ところが今やその一つ一つがパズルのように劇に嵌め込まれてゆくのが分かってきた。
“なぜ高齢者施設が出てくるのか”“老カップルのダンスに意味があるのか”“「こまどり姉妹」がなぜロミジュリに登場するのか”今までは疑問だらけだったのだ。

会社人間の悲しい性。全体の中の自分の役割と位置づけを最初に理解できないと意欲も湧かない、という性向がそうさせていたのだ。分かってくると、バカバカしい、くだらないと思えていたことがそれぞれ意味を持つのだと気づく。反省!

映画はシーンを分割して撮影し、編集で完成させる。ストーリーの展開通りに順撮りすることは稀である。芝居の役者も稽古の順番はバラバラなのだろう。「通し稽古」という言葉もあるくらいだから。ロミオとジュリエットを下敷きにした演劇、映画は古今東西数えきれない。その最たる現代版はニューヨークのど真ん中で展開するミュージカル『ウエスト・サイド物語』であるが、間もなく老人版ロミオとジュリエットが上演される。
田谷英浩(2016.11.8)

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蜷川幸雄のゴールド・シアター2016(5)」への1件のフィードバック

  1. 田谷さん!参加されているんですね。自然に演技をするのは難しい。舞台はおおげさくらいにやらないと小さくまとまってしまうし。感情を演じるのは難しいですよね。でも楽しく参加されていた感じが伝わります。

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