がんの基礎知識 ~発生、転移、診断、新しい治療法について~

これは「頼れる大人の会」10月定例講演会のタイトルである。
神奈川県立がんセンター臨床研究所特任研究員にして横浜市立大名誉教授の宮崎香氏に講演をお願いした。しかしがんに関する情報は毎日広げる新聞にも書店の店頭にも溢れ、果たしてどれほどの受講者がいるかと実は内心不安であった。
ところが心配は杞憂に終わった。このところの参加者減が嘘のように、会はじまって以来と思えるほどの盛況。しかも参加者の平均年齢は75歳くらい。日本人の平均寿命からすれば、等しくあと10~15年の命と思えるのだが、認知症とがんの罹患だけは避けたいと思うのは共通心理のようで、みなさん息を凝らして講演に聞き入った。

・がんは遺伝子の病気である。正常な個体において多くの細胞は活発に分裂するが、その役割を終えるとやがて死んでいく。つまり細胞の増殖と死のバランスが取れている。このような細胞の増殖を調節する遺伝子が変化し、その働きが異常になると無限増殖能をもつがん細胞が誕生し、私たちの体内で暴走する。

・このがんを作る遺伝子の変化、すなわち“がん遺伝子の活性化”はタバコ、食品、環境物質、ウイルスや細菌の感染など、多くの外的および内的要因により起こされる。また年齢が高くなるにつれて細胞内で遺伝子変異が蓄積し、がん遺伝子が活性化されやすくなる。

・これらの発がん因子をできるだけ避け、またがんにかかりにくい生活習慣を心がけることにより、がんになるリスクを低減できる。

・がんは長い年月をかけて発生し、悪性化し、ついにはいろいろな部位に転移するようになる。このようながんの悪性進展もまたいくつかのがん遺伝子が連続して活性化することによって起こる。

・がんの化学療法の進歩は術後の生存期間を大きく延長させたが、薬だけでがんを根治させるのは困難である。抗がん剤に対するがんの耐性化や、がん幹細胞の存在などのために、がんは再発する。

・がんを克服するためには、第一にがんの予防、第二に例えがんになっても早期発見により、がんが転移する前に完全に取り除くことが依然として重要である。

なぜ年を取ると、がんにかかり易くなるのであろうか。発病後3か月で死去した会員の横山雅子さんの身近な例を知っているだけに参加者は真剣そのもの。時として居眠りや私語が囁かれる例会であるが、今回ばかりは寂として声無し。
質疑応答では、放置療法を勧める近藤誠医師をどう考えるべきかの質問も出たが、宮崎先生は、それは「がんもどき」段階の話で、がんは必ず進行する、早期発見と転移以前の除去が肝心と説く。
参加者の中には宮崎先生独自の見解、予防法を期待した向きもあったようだが、どうやら特効薬は無いようで、最近報じられた世紀の新薬「オプジーボ」の未来に期待するしか無さそうである。
田谷英浩(2016.10.18)

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中