シン・ゴジラ考

日頃、映画館に足を運んでいるとはとても思えない人たちからも『シン・ゴジラ』が聞こえてきた。当初は夏枯れ対策の子供用怪獣映画程度にしか考えていなかったのだが、その後のマスコミの騒ぎからは、どうやらこちらの考え違いだったらしい。
このひと月の朝日新聞だけでも、「ゴジラと保守 破壊と創造」、「シン・ゴジラ快進撃のワケ」、「日本の宿命へのアイロニー」、「20年変わらぬ日本を破壊」と評論家や名のある記者が署名入りで大きなスペースをとって論評している。映画記者が映画欄で提灯記事を書くのとは大分趣が異なる。

『後妻業の女』を見て、今後の人生にとても役に立ったわ!と怖いことを言っている家人を説き伏せて、都心の大スクリーンの劇場に出かける。感心したのは、ゴジラに名を借りた反原発、脱原発の政治映画であること。ゴジラのエネルギーが海洋投棄された原発の使用済み燃料であり、制御不能のゴジラを原発事故に見立て、物語の結末において「凍結」させるあたりは、フクシマ事故で頻繁に聞かされた冷温停止と言う言葉が蘇る。

多摩川から侵入したゴジラに破壊され尽くす蒲田や五反田辺りに土地勘のある家人は、あまりにリアルな画面にもう止めて!と目を背ける。
庵野秀明という映画監督を知らなかったが、なかなか気骨のある立派な作家だ。いざとなるとさっぱり役に立たない御用学者、右往左往する政治家と役人などは類型的だが、スーツ系男子が格好良かったとか、企業の組織論として見たとか、日米関係の厳しさがよくわかったとか、自衛隊の装備に驚いたとか、いろいろな見方を引き出した。久しぶりに現れた山本薩夫なみ、骨太の社会派政治サスペンス劇と言うと褒めすぎか。万人必見! 
田谷英浩(2016.9.20)

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中