麦ふみ

寒に入ると霜害を防ぎ、根の働きを促す麦ふみがされた。十一月にまいた種がこの頃は十センチ程になってい、六月頃には黄金色に熟し刈り入れ時になる。
大麦、小麦、ビール麦。黒穂病にかかったのを黒穂と呼んだが、僕等は“黒んぼ”といって引き抜き麦笛にした。麦酒は大麦から造られると聞いたが、それとは別にビール麦と呼ばれる全体に繊細でその色も温しい麦があった。そよ風に揺れる様はおだやかに凪いだ春の海だったので僕等は学校帰り、度々ダイブした。刈り入れ間近の麦畑は金色に輝き、穂をつまんで、掌でもみ、もみがらを外したのを口に含み、根気良く噛み続けると粘りを生じ、それが僕等のガムだった。本物のガムを噛んだ米兵とパンパンガールが急に麦畑から姿を現わすこともあったが、僕等は知らぬふりをしている……。
パンパンの仕事中であることを小三の僕等はすでに知っていたのだ。
金ちゃんの紙芝居

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