護憲か改憲か 二つのシンポジウム

このタイトルを見ただけで、もううんざり、読みたくないと思う人は多いだろう。書いている本人もやや食傷気味なところに、最近では加憲、解釈改憲、リベラル改憲、護憲的改憲などという用語も登場し、その意味する範囲や内容を理解するのに頭が痛い。
そこで今週は、朝日・毎日vs読売・サンケイのパターン化した論争の土俵には登らず、このほど参加した二つのシンポジウムにおける注目すべき発言を紹介することにする。

sensoutobungaku

■シンポジウム「戦争と文学」
4月30日 主催:日本ペンクラブ 神保町・東京堂ホール
淺田次郎 志茂田景樹 冲方丁 松本侑子

淺田次郎
憲法九条には手を触れずに、できれば九条を一条にすべきだと思う。
志賀直哉は神格化されすぎである。思想性、社会性から遠いところにいるのが文学者として捉えられる伝統があるが、テーマ性なしで成立する文学はおそらく日本だけ。
冲方丁
若者の間に、この国が戦争状態になって欲しいという気持ちが広がっている。経済格差が広がる中で、みんな一緒になりたいという思いと戦時中の一体感に憧れる気持ちが芽生えている。

映画監督と時代

■シンポジウム「映画監督と時代」
5月22日 主催:自由と生命を守る映画監督の会
早稲田大学大隈小講堂
ジャン・ユンカーマン 小栗康平 荒井晴彦 堀切さとみ

ジャン・ユンカーマン 映画『日本国憲法』上映
(2005年 78分 キネ旬文化映画1位)
日本国憲法は今も世界中の人々が求めてやまない理想を示している。この時期にそれを捨てることは歴史の潮流に逆らう行為である。平和憲法とそれに守られている人権は空気のようなものであり、それらを当然のものと感じている。現在の改憲論戦は憲法の意味をいま私たちに問うている。

小栗康平
代表作『泥の河』(1981年キネ旬1位) 最新作『Foujita』
荒井晴彦
代表作『大鹿村騒動記』 最新作『この国の空』

気鋭の両監督ともすでに70歳台。反戦映画であっても戦闘シーンはアクション映画になるから彼らは撮らない。最新作の「FOUJITA」も「この国の空」も良質の反戦映画である。
荒井晴彦は言う。非戦の日常を撮りたい。スタッフを含め戦争を知らない世代ばかりになった。評論家にも戦争を知る人がいない。憲法は変えないで、何時までもこのままが望ましい。変えるなら一条だという点で両監督はほぼ一致しているように見受けた。

堀切さとみ 
代表作『原発の町を追われて』(2012年)
全国で自主上映会実施中。原発避難民のおかれた現状を記録し続ける。“フクシマは安全”に対抗するメデイアが必要であると指摘する。

「自由と生命を守る映画監督の会」は協会員27名で構成する有志の会。強権的な安倍政権に対して何ができるか、何をやらなければならないのかのスタンスで活動を開始した。旧知の佐藤武光監督(立入禁止区域 双葉~されど我が故郷 2012年 99分)もむろん参加している。発信力のある彼らの今後の活動を注視したい。
田谷英浩(2016.6.1)

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