ふみきり

踏切番が番小屋から顔を出すと同時に遮断機脇の警報器に赤いランプが点滅し、コーンコーンと泣き始める。
番のぢいさんは遮断機を開閉する直径50㎝程のハンドルを廻し、白黒だんだらの遮断棒を下しながら、一方の手は通行人に赤い旗を振り、「早く渡って!」をくり返し、やってくる電車に向かい白い方の旗を振るのだが、その時点では未だ電車見えない……。
やがて目の前の線路にガタンガタンをいう音が伝え聞こえ電車は警笛を一度、プクオーンと鳴らして鉄のこすれる重い音の風を巻き上げ通過するとおぢいさんは遮断機を上げ番小屋に引っこむ。
電車通常2輌だが朝夕のラッシュ時は4輌で、それでも超満員で“尻押し部隊”といふアルバイトもあり、それは“ひっぺがし隊”とも呼ばれ無理矢理乗り込んだ客を引き降ろす役も兼ねていた。ラッシュ時は5,6分間隔の電車もその他は10分20分の間隔で運行されたが、ホームも車内もたばこは自由だった。もちろん冷暖房はない。東上線は「いも」電車と呼ばれ、柄の悪い評判の電車だった。

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