2015年に出会った本

年末に逝去されたハードボイルドの小鷹信光さんに哀悼の意を表してミステリー2作を読む。


もう過去は要らない

ダニエル・フリードマン 創元推理文庫
88歳の元殺人課刑事vs78歳アウシュヴィッツ生残りの銀行強盗

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街への鍵 ルース・レンデル 早川書房
白血病患者へ骨髄を提供した女主人公。彼女は素性も分からぬ提供相手の男性に次第に惹かれていくが・・・。

ミステリーはシャーロック・ホームズに始まり現在にいたるまで、かなり読んでいる。海外篇№1と定説のある『Yの悲劇』エラリー・クインは無論のこと、『幻の女』ウイリアム・アイリッシュ、
『長いお別れ』レイモンド・チャンドラー、『火刑法廷』ジョン・デイクスン・カーなどの海外の名作、国内篇でも『不連続殺人事件』坂口安吾、『虚無への供物』中井英夫などの古典から清張ものまで、通勤電車の中で、新幹線の車中で読み漁った。
だから謎解きものには一家言あった。ただしそれもデイック・フランシスの競馬ものまでで、その後この世界からは遠ざかっていた。しかし故小鷹さんに敬意を込めて、今日的テーマである“高齢者の活躍もの”と“ドナー絡み”を読んでみたが、あまり面白くなかった。この先どうなるかと急いで頁をめくった昔のようなハラハラドキドキ感がない。書き手の技量か訳者のウデか。いやこちらの感性が落ちたのだろう。
次に昨年感銘を受けた著作4点を挙げる。

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けもの道の歩き方 千松信也
京大文学部卒42歳の猟師、という異色の経歴の著者が見つめる日本の自然と野生動物たち。“クマより猟師が絶滅危惧種” “狩猟の魅力まるわかりフォーラムに参加者250名”など知らないことばかり。読みやすい文体と豊富なイラスト、参考文献も充実していて資料性も高い。

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ニッポン周遊記 池内紀
ちょっと不便で、佇まいがひっそりとしていて、観光とはあまり縁がない町。エッセイスト池内紀が選んだ日本各地の三十の町。
これまでに行ったことのある町は福島県棚倉町、新潟県村上市など10市町村。これから行ってみたいところは、青森県黒石市、和歌山県高野町など20箇所。ちょっと制覇は無理だなあ。

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成瀬己喜男 映画の面影 川本三郎
黒澤明は大仰すぎる、小津安二郎は立派すぎる、木下恵介は作品の落差が大きすぎる、地味で静逸な成瀬の世界が一番という映画ファンは多い。
生涯で87本撮った大監督。畢生の名作が『浮雲』1955年であることは衆目の一致するところ。でも好みで言えば『女が階段を上がる時』1960年と『乱れる』1964年。本書はそのナルセを詳述する。

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地域再生の戦略 宇都宮浄人
13年前の『路面電車ルネッサンス』、4年前の『鉄道復権』、昨年の『地域再生の戦略』。
宇都宮浄人さんの著作を、テツの領域を超えたまちづくりの提言書として注目していた。地域バスや路面電車が利用しやすくなると人々のライフスタイルが変化するという。富山市のLRT、堺市の阪堺電気を体験済みなので自説が肯定されて心地よい。近々友人を介して面談の機会がありそうで楽しみである。
田谷英浩(2016.1.21)

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