裁かれるは善人のみ

近年で最も映画鑑賞の少ない年になりそうである。年内に公開予定されている洋画のラインアップに食欲の湧くものはなく、今年は30本台で終わることは間違いない。
12月を待たずにベストワンは何だろうかと考える。挙げるとすればロシア映画『裁かれるは善人のみ』(原題:Leviathanアンドレイ・ズビャギンツェフ)であろうか。


ロシア北部の荒れ果てた自然に囲まれた小さな町が舞台。そこで起こる土地再開発をめぐる警察、裁判所、教会の権力癒着の構図は世界共通にも思えるが、まだまだ民主的とは言えそうにないロシア社会の息苦しさが重層的に伝わってくる画面である。
砂浜に横たわる朽ち果てた船や鯨の遺骸、北極圏で撮影されたという映像は美しいが、極めて苛烈。
権力者と司法の癒着や聖職者の堕落といったテーマは都会を舞台に、過去いくつも作られてきたが、この荒涼とした大自然の中での人間の闘いとしたことで作品を成功させた。

スリラーでもあり政治批判劇でもある。しかし最後まで正義が勝利することは無い。あまりに救いの無いストーリーに欲求不満のまま劇場を出る。ロシアでは自国を貶めているという批判もあり、公開の是非に及ぶ議論があったそうだ。
作中ガブ呑みされるウオッカと共に記憶に残る作品ではある。

ここまで書いたところに、イタリア映画『ローマに消えた男』の評判が入ってきた。市議選騒ぎが収まり次第見に行くことにする。(2015.11.30)


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