正しい日本語を考える ー電車か列車か気動車かー

“そろそろ電車が来る時間だ”、“あの電車はかっこいい”…、テレビの旅番組などではお馴染の台詞である。
しかし「電車」じゃないのに、「電車」と呼ぶ神経には苛立つ。
こいつら馬鹿じゃないか!なんにも分かつちゃねいなと軽蔑しているが、天下の朝日にもそんな間違いが散見される。

鬼怒川の氾濫でひと月不通になっていた関東鉄道常総線が運行を再開したという10月10日の記事がある。それによると、写真下のキャプションには「決壊現場に近い南石下駅に一か月ぶりに電車が到着した」とあり、記事は「水海道駅で電車を待っていた高校一年生は…」とご丁寧にも間違いを繰り返している。
列車

鉄道を知る者は関東鉄道が首都近郊では珍しい全線非電化の気動車の走る路線であることを知っているし、鉄道ファンならずとも沿線住民は電車でないことは百も承知である。関東鉄道が設備投資をけちって気動車を走らせているのではない。茨城県石岡市に気象庁地磁気観測所があって、直流電流を流すと地磁気観測に影響を与える可能性があるため、半径30~40㎞以内では直流電化を採用できないのである。だから常磐線や水戸線、つくばエクスプレスもこの付近は交流電化になっている。関東鉄道も1980年代には急増する通勤需要に対処するため、電化を検討したが、前述の理由と複数の変電所建設に多額の投資が必要のため電化を断念している。

いっけん電車のように見える外観をしていても、架線は無いしパンタグラフもない。不勉強な若い記者連中に「電車」と書くのは間違いだと指摘しても、それなら何と書けばいいのかと質問されるに決まっている。現に朝日の紙面係りに電話で指摘したところ、「知りませんでした。それなら何と書くべきでしょうか」と案の定返答された。言うまでもなく「電車」とは電気を動力源として走行する鉄道車両のことであり、「気動車」とは主としてデイーゼルエンジンを動力源とした鉄道車両のことである。だから正確には「一か月ぶりに気動車が到着した」、「水海道駅で気動車を待っていた高校一年生は…」となるのだが、我々の日常感覚からは、正しいのだがどうもしっくりこない。
列車

さてどうするか。「列車」はどうだろうか。「列車」とは鉄道線路の上を列をなして走るから、こう称するのだが、一両編成であっても「単行列車」と呼ぶ慣わしになっている。ならば「一か月ぶりに列車が到着した」、「水海道駅で列車を待っていた高校一年生は…」となり、だいぶ日常感覚に近いものになる。
列車

テレビタレントにも“そろそろ列車が来る頃だ“あの列車はかっこいい”と言うように指導しようではないか。大きな間違いとは言わないが、上から下まで、聞き苦しい日本語の使い方が多すぎる。
この際、アドレナリンが出る、鳥肌が立つ、凄い絶景とか軽々しく叫ぶ風潮を止めさせようではないか。語彙の不足も際立つが、アドレナリンが出まくったり、鳥肌が年中立ちっぱなしだったり、日本全国が絶景だらけなどでは無いはずだ。日本語を正確に大事に使おう。(20015.10.15)

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