ライカ

昭和30年、中学2年、友人に誘われ“としまえんモデル撮影会”に同道。国籍不明の金髪を囲み、にきび面の若者やよぼよぼのおじさんがシャッターを切ります。「ブロンドっていいですなあ」「よだれ、たれそうですわ」

「としまえん」の続きですが、中学に進んで、級友に江古田に住む大そう金持のおぼっちゃまがいて、それがライカというカメラを持ってたんです。小学校の頃からいじくりまわしていたとかで、その腕前は大変なもの。彼自からD・P・Eを全て出来、ぼくも時々暗室に入れられ、水洗いとやらをさせられたんです。その彼が「女を写したいなあ」といい出し、ぼくはぼくで“裸の女”かと早合点したのですが、としませんに時々モデル撮影会といふのがあって、それに行きたいが一人でははずかしいから一緒に行ってくれということで出かけました。確か中二の六月です。衣替えで帽子には白い被いをかけ、霜降りの学生服の頃です。白い木馬にこしかけた外人、金髪の女を彼は何枚もとりました。“シャク”というシャッター音が耳にあります。隣にいたあまりパッとしないおじさんが彼にいいました。「ブロンド美人ってナイスですなあ」うなずく彼に「ライカ、君のですか?ちょっと持たせてくれませんか。30万円位しますよね」「……」彼は無言でうなづいたがぼくはビックリ。たしかにカメラは高値で、その頃ですら贅沢高尚な趣味であることは知っていたが、30万のカメラにはおどろいた。彼の家には「父の」というそのライカが本棚に何台もあったのだ。おじさんのカメラはTUBASAというちゃちなカメラだった。ちなみに中・高の六年間、私の写真は彼の写したものだけです。もちろんカラー以前の白黒です。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中