積極的平和主義と戦後70年談話

「積極的平和主義」という用語に、それが積極的に使われだされた頃から、妙な胡散臭さと落ち着かない気分を抱いてきた。
安倍首相は積極的平和主義の実現のためには、集団的自衛権に関する憲法解釈の変更が必要だと認識している。だから「積極的平和主義」は平和を名乗りながらも憲法の平和主義に反するという意見が当然ある。我々は安易に「平和」と言う言葉に騙されてはならない。
今更とは思うが、広辞苑で「平和主義」をひく
1 平和を理想として一切を律する思想上、行動上の立場。
2 一切の戦争を悪として否定する立場。
とある。これに「積極的」をかぶせるとどうなるのか。
英訳ではProactive Contribution to Peaceと言うらしい。平和への積極的な貢献とでも言うのか。

折も折、この言葉を提唱したノルウエーの学者が来日した。この人は戦争の無い状態を「消極的平和」と言い、貧困や差別といった構造的暴力のない状態を「積極的平和主義」と定義する。
日本の平和のために、世界に出て行って戦うというような安倍首相の「積極的平和主義」とはどうやら異なるようだ。日本が集団的自衛権を行使するようになれば、中国はさらに軍備を拡張するだろう。結果、報復を招き日本の安全は高まるどころか脅かされるようになる。枝葉末節な議論に終始する国会の論戦に呆れる。

戦後70年安倍談話に対する各紙の論調は当然のごとく割れた。肯定派の読売、産経、日経。否定派の朝日、毎日、東京。各社とも自社寄りの評論家、識者を動員して論調を補強する。一国の首相談話がこれほど違った形で報道され、右と左の国民世論が形成されてゆく。怖いようにも思うが、これが民主主義なのだろう。

産経・桜井よし子氏 ジャーナリスト
「侵略」という言葉を使ったが、一人称ではなく歴代政権の姿勢として、国際社会の普遍的価値としての言及だったのは非常に良かったと思う。「日露戦争」は植民地支配のもとにあったアジア、アフリカの人々を勇気づけたとした。歴代首相でそういうことを述べた人がいたか。歴史の事実として、人類の歩みの中に日本もあったと確認したことは良かっただろう。

宮家邦彦氏 外交評論家
戦争に至る当時の国際環境や、日本がなぜ国策を誤ったかについて丁寧に説明している。「頭を垂れる」「痛惜」という自分自身の言葉を使っており、外交的にもバランスが取れている。

読売・細谷雄一氏 慶大教授
村山談話は首相と一部閣僚、少数の歴史家によって短期間で作成された文章で、国民のコンセンサスを作るという意味では失敗だった。今回の安倍談話は相当時間をかけて練り上げたという印象だ。可能な限り幅広く国民が受け入れられる文章を選んだ。結果として、かなりの程度、歴史認識をめぐる国民のコンセンサスになるのではないか。

高原明生氏 東大教授
素直に認めれば過去の談話の主なキーワードがすべて入り、何を反省しなければならないか、についてはこれまで以上に具体的に述べられており充実した内容になった。

朝日・三谷太一郎氏 東大名誉教授
日本の台湾や朝鮮に対する植民地支配への自己批判がない。責任も不明瞭だ。侵略の責任という問題意識もないことが非常に問題だ。過去に対して主体意識がないために、現在と未来に対する展望を自らの言葉で語れないのだろう。その結果、終始冗長で毒にも薬にもならない談話になった。

白井聡氏 京都精華大講師
作成過程でどんな文言を入れるのかが、これだけ注目されたことは、結局安倍首相が政治家として、いかに信用されていないか改めて露呈したと見るべきだ。

西崎文子氏 東大教授
平和国家としての歩みを強調しながら、それを担保してきた憲法に一言も触れていません。考えるべきは第一はアジアにおける日本の加害責任、第二は戦争被害、とりわけ原爆被害です。日本が加害責任を認めて謝罪したうえで、原爆投下の非を問えば核廃絶に向けての日本の主張は説得力をもったはずです。

8月28日、九条の会・さいたまの主催する青木理氏の「国家権力とメデイア ―ナチ化した安倍政権の暴走を許すな―」を聴く。
1 メデイアの役割を全く理解していない安倍反知性内閣
2 ジャーナリスト後藤健二氏死去にまつわる官邸の対応
3 メデイアの自己規制と萎縮の実態
4 体制迎合を恥じない大メデイア
5 祖父岸信介、父安倍晋太郎は政策や思想的に問題はあっても、相当に幅と深さを持った人物と理解している。晋三のような反知性主義、歴史修正主義者がどうして生まれたのかを解明中である。

最後に終戦を主導した鈴木貫太郎首相の孫、鈴木道子さん83歳「終戦から70年が経ち、平和の尊さがわからない人が増えているようです。祖父は息を引き取る前、“永遠の平和”と言い残しました。祖父らが身を捨てて取り組んだことで、終戦に導くことができました。若い人たちには本当に貴重な平和であるということを改めて心してもらいたい。
(2015.8.31)

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