ジャム

jam

ジャムと呼ばれる二年上級生がいた。
八十八夜の頃に成ると毎年決って頭におできが現われ、またたく間に大きく成り膿を持ち破れた。日に日にその数は増え血膿が流れ、蝿がたかる様に成ると嫌な匂いを発した。
血膿は単なる血の色ではない。青い様な黒い様な色でぼく達は、”ドドメ色”と呼んだが、それは文化パンがコッペパンに塗ってくれる”イチゴジャム”の重い色。そこで皆は彼の額からドロンと落ちるそれを”ジャム”と呼んで、彼の徒名となった。
夏休みを迎える頃になると、顔中がおできで埋り医者はヨード・チンキを塗し、顔全体が紫色に見える程だった。頭は繃帯でぐるぐる巻きにされるが血膿がしみ出し、それに蝿が寄っておぞましかった。中学生に成った彼はニキビとおできでこの世の者とは思えぬ顔で大人に向かっても「おい!Sエスくれよ」なんてたばこをねだった。大人も米兵もパンパンも
彼の手にたばこをのせた。
「たばこをなぜ”S”と呼んだが私は知らない。

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