Thomas Piketty パリ白熱教室

放映される時間を心待ちするTV番組が現れた。NHK教育テレビ金曜夜11時の「パリ白熱教室」。世界のベストセラー『21世紀の資本』の著者トマ・ピケテイ教授の大学講義である。
この本は日本でも既に13万部も販売されたというが、700頁を超える辞書のような大部に挑戦する気力はない。

「アメリカではわずか1%の富裕層が国の富の1/4を握る。(ウオール街のオキュパイ運動の理論的支えになった)。なぜ所得の不平等は生まれるのか。そしてなぜ格差は拡大するのか」。
ピケテイ氏は世界各国の税務記録300年分を分析した結果を次々に示す。(ノーベル賞の声もある)。「所得の格差は教育と相関関係にあり、富は受け継がれる。大きな資本ほど雪だるま式に増えていく。しかも資産の格差が世襲により固定化する。」
ピケテイ氏は不平等の主な解決策は資産が多ければ高率の税を課す「累進課税」にあるとする。この観点から金持ちにも貧乏人にも同率でかかる消費税の増税には反対の立場を取る。
そうなると日本固有の高齢化、人口減少の中で、正社員対非正規などによる年金負担の世代間格差をどうするのか。膨張する社会保障費をどうするのかという消費増税やむなしの説とぶつかる。

難しいことはよく分からないが、言いたかったのは1971年生まれ、41歳ピケテイ教授の役者そこのけの顔立ちと知性、全身から溢れる説得力、ジョークも巧みで無邪気な笑顔。反知性主義のはびこるテレビに一服の清涼剤である。
学生を議論に参加させる講義スタイルは、マイケル・サンデルの『ハーバード白熱教室』が嚆矢であろうが、Justice with Michael Sandelを『ハーバード白熱教室』と邦題をつけた端倪すべからざる知恵者がいたのだ。

さて安倍晋三は当然ピケテイ人気に機嫌が悪い。民主党は人気にあやかり、早速「格差」を国会論議のテーマに据えた。首相は事務方から、ピケテイ・レクを受けたらしいが、“成長の果実をどのように分配するかが大切なんだ”と自説を変える気配はない。
ただ最近非常に気になるのは、感情的な受け答えがますます多くなったこと。自分の気に入らないことには顔色を変え食って掛かる。“首相の見解を聞きたい”と強く迫ると“あなたならどうするの?”などと噛み付く。答えになっていない。
「自分で円安にして、日本を大赤字にしておいて原発を再稼働させるというのは、相手に怪我させておいて、薬を買えというに等しい。」とまさにアベノミクスの本質を付いた批判者に対して、“あいつだけは許さない”と公の席で怒鳴ったという話もある。一国のリーダーとしてはみっともない。

ここで日本を代表するエコノミスト諸氏の発言を拾う。

水野和夫氏 資本主義を資本の自己増殖のプロセスと定義すれば、「実物投資空間」ではもはや資本は増えない。超低金利の21世紀、資本が自己増殖するのは「電子・金融空間」しかない。
ここでの尺度は「利子率」ではなく「株価」。無理につり上げてもバブルが膨らんではじける繰り返しになる。

藻谷浩介氏 円安による国富流失でさらに内需を損なう姿は「とにかく資源確保」と戦線を拡大し泥沼にはまった大戦中を想起させる。日本では金融緩和が内需を拡大させることは無い。

広井良典氏 成長がすべての問題を解決するという高度成長期に染みついた発想から脱却することが日本社会の最大の課題である。優先的に行うべきは、再配分を通じた格差是正と機会の平等の保障である。(2015.2.20)

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