自費出版ラッシュ

類は友を呼ぶ、書くことに熱心な仲間から最近洒落た体裁の小冊子がよく届く。中には麗々しく「謹呈」何某、朱印まである。
いずれも出版不況の出版社の誘いにのって出したものではなく、基本は手作り、製本まで自分でやってしまう猛者もいる。
共通するのは後期高齢者、そろそろ趣味の世界のあれこれや、何処かに発表した自説などを一冊に纏めておきたいと思う心理。
自己満足以外の何物でもないことも承知していて、読者は十数人、よくて何十人であることも知っている。だからお互い承知の上で、「書く仲間」に送ってくる。
版型、頁数もさまざまでA4200頁の論文集あり、B750頁のエッセイ集あり、中は文章だけのものもあれば、自作のカラー写真、水彩画、イラスト入りのものまで、百花繚乱。

しかしこうした中で、20年前に刊行した親父の『地声妄語』B6400頁は、編集人として最高の出来栄えと自負している。60年以上にわたって書き続けていた技術誌、工業会誌、山岳誌などへの論文、コラム類やゴルフ場の会員誌に連載していたエッセイなどを一冊にまとめあげた。出版記念会まで計画したが、その矢先体調に異変をきたし、間もなく他界した。
たしか数百万円かけ、500冊くらい作り、国会図書館にも寄贈した。いま親戚を訪ねると、本棚に背表紙を見つけることもある。そんな時、出版しておいてよかったなあ、俺がやれた最大の親孝行はこれだったなあと感慨にふける。
さてそろそろ、仲間が最近送ってくれた数点の力作を紹介することにする。おっとその前に、自分の場合は、この「週報」をはじめ自費出版できるだけの原稿量は十分にあるが、その気はないことを表明しておかねばならない。だから娘たちは気に掛ける必要はない。(陰の声:もともとそんな気はないよ!)

二葉荘余聞鈴木栄蔵氏
大同製鋼の創始者福沢桃介(福沢諭吉の婿養子)と日本の女優第一号を引退した川上貞奴が住んだ建物「二葉荘」秘話。後年、社史編纂室勤務になった著者が電力王福沢桃介の素顔を求めて全国を取材する。謎解きめいていて面白い。

たぶんだぶんおおいこうぞう氏
-はじめに-にこうある。『余分なものである。もとより駄文である。手すさびにしるしたざれごと。』これだけでただならぬ著者の力量が分かろうというもの。隠居の「北海道阿房列車」

野瀬隆平氏
『なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪に行って来ようと思ふ』という内田百閒の名著『阿房列車』を真似て、特にこれといった目的もなく北海道に行って来た旅日記。文中しばしばTさんが出てきて面映ゆいが、他のことは別にして、「鉄道」については一目置いてくれているようだ。

こうそんのESSAY梅下幸村氏
ピースボートによる地球一周に始まり、ブータン、インド、イタリア、カナダ、エクアドルと退役後も未だに世界スケッチ旅行を続けている。愛車はカワサキ・エリミネーター水冷4サイクル2気筒250cc6段変速のバイク。この人の革ジャン姿のツーリングスタイルは想像しにくい。

ROOM2006喜多川雅人
巧みな筆致、艶っぽい文体、実話とフィクションの境目あたりで、ニヤッとさせ読むものを引き付ける。艶笑小説家と言っていい。企業OBペンクラブ会長はダテではない。

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